慶應義塾体育会航空部 部長 足立修一
1930年に創部された航空部は2020年に創部90周年を迎えました。航空部の日々の活動や、滑空することの楽しさについては、航空部HPに詳しく書かれているので、ここではこの90年の歴史を航空部部長の移り変わりから見てみましょう。
初代の航空部部長は交通経済学がご専門の増井幸雄教授で、航空部創立の1930年から1942年まで12年間部長を務められました。第二次世界大戦後、福沢諭吉先生の孫である清岡暎一教授が1945年から22年間2代目の部長を担当され、航空部の基礎を築いてくださいました。清岡教授は英文学を専門とされ、慶大では外事部長として手腕を発揮されたそうです。3代目の部長は工学部の佐藤豪教授(内燃機関がご専門)で、1967年から6年間勤められました。この間の1969年に航空部は慶應義塾体育会に加入しました。航空部が慶應義塾体育会の仲間入りをしてから50年以上の月日が流れました。
4代目部長は自動車工学がご専門の工学部の佐藤武教授で、1973年から22年間担当されました。5代目部長は生体医工学がご専門の理工学部の南谷晴之教授で1995年から14年間担当されました。そして、2009年に私が6代目部長に就任し2023年まで担当する予定です。私は理工学部に所属し、専門はシステム制御理論です。その応用先として航空・宇宙の分野を扱っていることもあって、航空部長に就任しました。90年もの長い歴史の中で6名の部長しかいないことに責任の重大さを感じています。偉大な先輩部長たちには遠く及びませんが、中継ぎとしてつぎの創立100周年を迎える7代目部長にうまくバトンを引き継げればと考えています。
グライダーについて無知だった私も、部長就任後,少しずつグライダー競技の難しさと面白さがわかってきました。そして、こんなに強い部が慶應義塾体育会にあったことを初めて知りました。私が就任後のこの10年間で二度も5冠(団体優勝)を達成しました。航空部は全国大会で優勝を目指しますと、自信をもって言え,そして塾長、塾体育会からもそのことを期待され、一目置かれている部なのです。
しかし、勝敗以上に、部員の人間教育の場としての航空部の重要性を感じています。女子部員や理工系部員、語学に堪能な部員などがバランスよく存在するユニークな部で、ただ単に運動能力が高いだけではなく、文武両道を実践している部なのです。そのため、4年間航空部でしっかりと活動した学生を、私は安心して社会に送り出すことができます。これは航空部の大きな社会貢献だと思っています。そして、このよい伝統は今後へ引き継がれていくことでしょう。
創部90周年を迎えたいま、2030年の航空部100周年へのカウントダウンが始まりました。