グライダー競技は、命にかかわるスポーツである以上、部員全員で安全に対する意識を高く持ち続け、運航の安全を常に確保し続けることが不可欠です。グライダーに関する知識を部員全員が深め、常にアップデートしていく必要があります。グライダーの失速速度、運動制限速度、超過禁止速度、着陸進入速度、ストールやスピンの特性(それらからの回復)、緊急操作、航空気象全般、航空衛生、滑空場周辺の空域や関連するローカルルールなど、安全な運航に向けて、習得すべき事項は多岐にわたります。慶應航空部では訓練のない平日や週末に、オリジナルのテキストを用いながら、それぞれが学びを深めています!
加えて、過去に起きたインシデント•ヒヤリハット(事故につながりかねない事象)を分析しながら、各人がどのようにレベルアップしていけるかを考える、安全対策会議を定期的に実施しています。7月1日にも、教官と部員が日吉キャンパスに集まり、2023年度1回目の安全対策会議を実施しました。普段の航空部の活動で疑問に思うこと、安全性が欠けている部分はないか、部としての活動で改善できる点はないかを、班ごとに話し合い、過去の事象から学べる点をプレゼン形式で発表しました。
▲ 1年生も積極的に発言してくれました!
▲ハインリッヒの法則という労働災害の分野で知られている経験則がありますが、グライダーの事故にも同じことがいえます。つまり、1件のグライダーの重大な事故の背景には、29の軽微な事故があり、さらにその背景には300の異常が存在するというものです。少しでも不安に思うことがあれば、部員間で共有し、潜在的な危険が顕在化する前に対処することが大切です。
▲ 部員全員が対等な立場で意見を出し合い、変化を恐れずに前に進むことのできるコミュニケーション、チーム作りが何より求められる競技だと思います。
部員全員がパイロットである以上、決められたルールを守ることは妥協してはいけない義務であり、普段の訓練も安全にかえられるものはありません。航空部として安全を追求し続け、部員一人一人が高い意識をもって、日々の活動に取り組んでいきたいと思います。